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【interview】スタンプロードを地元の景観転換の突破口に/株式会社アイテック

インタビューの様子
インタビュー日時 2021年11月18日木曜日
インタビューをさせていただいた方:株式会社アイテック(愛媛県伊予郡松前町) 会長兼CEO 出海満祐様
インタビュアー:経営コンサルタント 前田健二

愛媛県伊予郡松前町(いよぐんまさきちょう)は、人口2万9千人の小さな町です。道後温泉で有名な松山市の南に隣接し、現在は松山市のベッドタウンとして宅地開発が進んでいます。愛媛県伊予郡で唯一海に面する港町であり、町内に四つの川が流れる、水が非常に豊富な土地としても知られています。

松前町はまた、農業が盛んな土地でもあります。町内には平坦な土地が多く、玉ネギ、イチゴ、レタスなどの栽培が盛んな上、ハダカムギの生産では愛媛県でも群を抜いた存在となっています。また、町内では東レが戦前より東レ愛媛工場を稼働させており、現在でも旅客機の機体用主要部品などを製造しています。

松山空港から車で20分ほどのところにある株式会社アイテックさんの本社をお邪魔し、会長兼CEOの出海満祐様にスタンプロードを導入されたきっかけなどについてお話をうかがってきました。

松前町という町と株式会社アイテックについて

(インタビュアー前田健二、以下「前田」)はじめに、御社がある松前町について教えて下さい。松前町とは、どんな町でしょうか。

(株式会社アイテック 会長兼CEO出海満祐様、以下「出海会長」)松前町は、簡単に言うと昔からある漁師町です。海が近くにあり、かつては漁業が盛んでした。漁師町ということもあって気性が荒い土地でもあります。あと、松前町には松前城というお城が昔あり、松山城と並ぶ存在だったそうです。ただし、私が生まれた頃にはすでにお城はなくなってしまい、今は城址しか残っていません。今は城下町というイメージは残っていませんね。

株式会社アイテック様の社屋

前田:なるほど。松前町はお隣の松山市とは大分違う雰囲気なのですか?

出海会長:基本的には松山市のベッドタウンという色が濃いですね。松前町から松山市に通勤している方が多くいらっしゃいます。あと、松前町には東レの愛媛工場がありますので、そこで働いておられる方もたくさんいらっしゃいます。東レの工場は大分前からありまして、松前町といえば東レの工場というイメージが昔からあります。

前田:そうですか、ありがとうございます。続いて、御社のプロフィールを簡単に教えていただけますか。

出海会長:はい、当社は基本的には土木の会社です。公共工事が半分、民間工事が半分の土木会社です。もともと私の父親が土木会社をやっていて、最初はその会社で仕事をしていました。そして、今から25年ほど前に独立してこの会社を立ち上げたのです。父親の会社はほぼ100%公共の土木の仕事を下請でやっていたのですが、独立してからも当分の間は同じような仕事をしていました。その後、少しずつ外構などの仕事も行うようになりました。

前田:土木の工事と言いますと、具体的にどのような工事が多いのでしょうか?

出海会長:造成工事、下水道、道路の工事が多いですね。建築以外の外構とか、給排水設備工事とかもやります。今回スタンプロードとのご縁が出来たのも、もともとは下水道工事がきっかけです。愛媛県のほぼ全域で仕事をしていて、大体いつも県内を回っています。

前田:そうですか。ところで、出海会長は今おいくつでいらっしゃいますか?

出海会長:今年で50歳です。見た目はもっと若いですが(笑)。

出海会長

前田:確かに若くお見えになりますね(笑)。話は変わりますが、出海会長のプロフィールを教えていただけますか?

出海会長:はい、私は高校卒業後に父親の会社へ入社し、24歳の頃までそこで仕事をしていました。25年前に独立して、最初はほぼ100%土木の公共工事の下請けをして、少しずつ民間の仕事を受注するようにしていきました。先ほど申しましたように、今では公共工事が50%、民間工事が50%となっています。

型押しアスファルト工法の普及程度

前田:ちょっと話が前後しますが、スタンプロード、つまり型押しアスファルト工法ですね。この型押しアスファルト工法なのですが、こちら地元松山・松前町では、一般にどの程度知られていて、どの程度普及しているのでしょうか?

インタビューの様子

出海会長:型押しアスファルト工法は、こちらではほとんど未開拓の状態です。こちらで多いのは道路に色を塗るカラーリングです。白以外にも赤、黄色、青とかを15センチから45センチくらいの幅で塗る仕事です。こちらではその仕事が少しずつ増えてきていますが、型押しアスファルト工法は、まだ1-2件位しか実績がありません。

前田:先日、同じ愛媛県の西条市にお邪魔をしてきました。ご存知かと思いますが、西条市は街のいたるところで型押しアスファルト工法が施されています。同じ愛媛県なのに西条市と松山・松前町では状況が全然違います。なぜそうした違いが生じたと思われますか?

出海会長:基本的に認知度の差だと思います。

前田:一般的な認知度の差と言うことでしょうか?西条市で伺ったお話では、西条市は役所の担当者さんが型押しアスファルト工法についてよくご存知で、役所の方が積極的に採用したということです。松山・松前町では、そのような状況にはなっていないのでしょうか?

出海会長:まったくなっていないですね。こちらの役所の担当者さんは、まったくそこまでの知識をお持ちではないですね。

前田:なぜでしょうか?

出海会長:なぜでしょうかね。はっきり言ってしまうと勉強不足だと思います。型押しアスファルト工法というものの存在を、つい最近になって初めて知ったというのですから驚きです。ご存知でしょうが、型押しアスファルト工法というものは、数十年前から存在しているものであるにもかかわらず。あと、こちらの方では、型押しアスファルト工法そのものの営業がまだ全然なされていないということも関係していると思います。

前田:なるほど。

出海会長:あと、こちらの土地の気風として、「新しいものが好きなのだけれども、実際には取り入れない」というものもあると思います。この辺はもともと保守が強い土地柄ですので、まさしく保守的なのです。一方で、一度取り入れたらどんどん広げてゆくのも事実なので、型押しアスファルト工法をいかに取り入れてもらうかがポイントだと思います。実績を示せれば、じゃあ次はここにもやろうという話になると思いますので、いかに早く実績を出せるかがカギになると思います。

前田:ちなみに、西条市ではたくさん実績がありますよね。こちらの役所の人に「西条まで見に行って下さい」とは言えないのですか?

出海会長:西条まで見に行ってもらうのは難しいですね。自分から動く人は少ないですね。

前田:なるほど。同じ愛媛県でも全然違うのですね。型押しアスファルト工法がほとんど普及していないこの松山・松前町という土地においては、どうすれば普及すると思いますか?

出海会長:そうですね、やはり営業を強力に行ってメリットや特性などを説明し、予算に合わせて提案を繰り返してゆくしかないと思います。一か所採用されればそれが突破口となり、後は続々と続いてくると思います。

スタンプロードについて

前田:では、そろそろスタンプロードについておたずねしたいと思います。出海会長がスタンプロードをお知りになったきっかけを教えて下さい。

インタビューの様子

出海会長:スタンプロードを知ったきっかけは御社の営業担当者さんを通じてです。型押しアスファルト工法については、他社のシリーズなどで10年ほど前から知っていました。実際に自分でやろうと他社のシリーズを検討したこともあります。でも、他社のシリーズはコストが高いので断念しました。一方、御社の営業担当者さんとは20年以上前からスタンプコンクリートなどで付き合いがあり、1年ほど前に御社がスタンプロードの施工店募集を始めたということを教えていただいたのです。

前田:なるほど。三豊工業の営業担当者さんからスタンプロードの話を聞かれた時、どう思われましたか?

出海会長:もう、飛びつきましたね。もともと前からやりたかったこともありましたし、他社のシリーズよりも導入コストが安く、営業の仕方などもこれなら大丈夫だと思いました。三豊工業の営業担当者も、松山エリアでのスタンプロードの営業をバックアップするとおっしゃってくれました。

前田:では、実際にスタンプロードをどのようにお使いになるイメージですか?

出海会長:なんと言っても地元の公共工事ですね。具体的には市役所などの公共施設の敷地内とかで使ってもらいたいですね。あとはスーパーマーケットの駐車場とか、民間の工事でも使ってみたいです。

前田:具体的な工事のイメージはお持ちですか?

出海会長:まだ具体的には出てきていませんが、設計会社にはこういうものがあるという風に話をし始めています。公共の仕事は、設計士がどこに何を入れるかで内容が決まってきます。ですので、設計士さんにスタンプロードというものについての情報を与えています。実際にカタログを配ったりもし始めています。

前田:ところで、スタンプロードは御社にとっては新規事業になると思いますが、出海会長としては、このスタンプロードという新規事業を、いつくらいまでにどの程度の規模にしたいとお考えですか?

出海会長:そうですね。売上的には3年後位までに年間で2-3千万円程度になればいいかなと考えています。工事単価自体は大きいので、年間10件程度受注できればそのくらいにはなると考えています。しかも、うちは入札業者なので下から全部取れます。基本的には、松山エリアを中心に公共工事の受注を目指します。民間でもスーパーなどの仕事が受注できると思います。

前田:なるほど、では、スタンプロードの事業に社内スタッフを何人位投入する予定ですか?

出海会長:スタンプロードの仕事は常時あるようなタイプではないと思いますが、基本的には1現場当たり3-4人は投入できるようにしたいと考えています。うちは社内にスタッフが9人いますが、他の仕事もしながら9人全員で対応できるようにしたいです。

前田:ところで、社内スタッフさんのスタンプロードに対する反応はいかがですか?

スタンプロード施工の様子

出海会長:まだ実際にやったことがあるスタッフが2人しかいないので何とも言えませんが、若いスタッフは面白いと思っているようです。うちは公共工事で下水道の工事を多くやるのですが、下水道の仕事は終わってしまうと基本的に「見えなくなる」仕事です。一方、スタンプロードの仕事は仕事が終わっても「見える」仕事です。現場を通るたびに「この現場をやったのは自分だ」と自慢できるのです。モチベーションも比較にならないくらい高いです。

テンプレート、色、ヒーターについて

前田:話を変えますが、スタンプロードのテンプレートについてはいかがですか?

出海会長:スタンプロードのテンプレートは面白いですね。普通に石を貼るより雰囲気が大分違います。日本では普通こういう貼り方はしないです。デザイン性が高くて面白いと思います。また、スタンプロードは施工性も高いのが良いところだと思います。左官のように高い技術が求められることもなく、誰でも均一的に仕上げられるところが素晴らしいと思います。特に若手の人材不足が深刻な舗装や土木の世界においては非常に魅力的です。

前田:なるほど。では、色についてはいかがですか?

出海会長:初めて見た時は派手だと思いました。もともとアスファルトは黒と白しか色がない世界ですので、色を付けるだけでも派手だと思いました。でも、特に店舗とかであればインパクトは強いと考えました。実際に現場で青を見た時は「これは何だろう」と衝撃を受けました。ある意味非日本風ですが、洋風なデザインがトレンドの昨今では、むしろマッチすると思います。

前田:なるほど。ヒーターについてはいかがですか?

出海会長:小型でいいモノを作っているなと思いました。これほどコンパクトで使い勝手のいいヒーターは見たことがありません。サイズも丁度いいです。他社のヒーターでより大型のものがありますが、あれだと現場を選んでしまいます。小型の現場では使い勝手が良くありません。

三豊工業に望むことなど

前田:あと、三豊工業に望むことなどございましたらお願いいたします。

出海会長:営業やマーケティング支援などについては、すでに十分に期待していますので、改めて申し上げることはありませんが、ひとつお願いしたいことがあります。それは、「三豊工業」ならびに「スタンプロード」のブランドや知名度を上げて欲しいということです。「三豊工業」または「スタンプロード」と言えば、役所の人を含めた関係者全員が「ああ、あれか」とすぐにイメージできるくらいに知名度を上げて欲しい。特に「スタンプロード」の知名度を上げて欲しいです。

前田:なるほど、「スタンプロード」のブランディングですね。他に何かございますか?

出海会長:あとは営業ツールがあるといいですね。CDやDVDに「スタンプロードとは?」なんてタイトルの動画を若い女性のナレーション付きで納めて、役所の人に渡して簡単に観てもらえるような。あるいはQRコードを読んだら動画が簡単に始まるみたいなイメージです。「施工方法」「メリット・デメリット」等々、とにかく動画がわかりやすくて一番いいと思います。そういう動画をぜひ作っていただきたいです。

前田:動画は情報伝達効率が高いですからね。

出海会長:あとは、事例の情報をどんどん発信していただきたいですね。ある御社の同業他社さんは施工店から事例の情報を集めて上手に発信しています。また、新着情報をLINEで発信するなど、若い世代の施工店を上手に囲い込んでいます。施工店が簡単に情報をアップデートできる仕組みを用意したりしながら、同業他社さんのように可能な限りたくさんの事例の情報を集め、発信していただきたいですね。

前田:「三豊工業」と「スタンプロード」のブランドと知名度向上、動画などの営業ツールの開発、事例の情報収集と情報発信、いずれも大変貴重なアドバイスです。また他にも有意義なお話をたくさんお聞かせいただき、ありがとうございました。御社のスタンプロード事業の成功をお祈りいたします。

出海会長:ありがとうございました。

左から弊社代表佐藤、出海会長様、出海社長様、弊社岡山営業所長南
(左から弊社代表佐藤、出海会長様、出海社長様、弊社岡山営業所長南)
2022.06.24