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【interview】スタンプロードに賭けたエクステリアのプロ /有限会社藤建商

インタビューの様子
インタビュー日時 2021年11月18日木曜日
インタビューをさせていただいた方:有限会社藤建商(徳島県徳島市) 専務取締役 藤井仁様
インタビュアー:経営コンサルタント 前田健二

徳島県徳島市は、人口25万1千人を抱える徳島県の県庁所在地です。日本三大暴れ川のひとつと言われる吉野川の河口に位置する、徳島県の経済・文化の中心都市です。江戸時代には藍産業で潤い、当時の日本では指折りの巨大城下町として栄えていました。地理的な関係で古来より関西経済圏とのつながりが深く、地理的にも神戸淡路鳴門自動車道を通じて繋がっています。

徳島市は、今では日本各地で楽しまれている阿波踊りの発祥地としても有名です。阿波踊りは、400年以上の長い歴史を持つ日本有数の踊りで、毎年お盆の季節に日本全国から130万人もの観光客を集めています。阿波踊りは、徳島市民の自由な民衆娯楽として開花し、長きに渡って市民の間で楽しまれ、受け継がれてきました。

そんな徳島市内の、吉野川分流の沖洲川のほとりにある有限会社藤建商さんの本社を訪ね、専務取締役の藤井仁様にスタンプロードを導入されたきっかけなどについてお話をうかがってきました。

インタビューの様子

徳島市という街について

(インタビュアー前田健二、以下「前田」)本日はよろしくお願いいたします。はじめに、御社がある徳島市について教えて下さい。徳島市とは、どんな町でしょうか。

(有限会社藤建商 専務取締役の藤井仁様、以下「藤井専務」)私は、生まれも育ちも徳島なのですが、商売という点で見ると、徳島は商売がやりにくい、難しい土地ですね。

前田:商売がやりにくい?

藤井専務:そうです。徳島は、お金持ちほどお金を出さない、商売がやりにくい土地だと思います。実際のところ、飲食店などでも苦労されておられるところが少なくありません。

前田:そうですか。では、産業面ではいかがですか?

藤井専務:産業面では、徳島と言えば大塚製薬ですね。大塚製薬の今の本社は東京ですが、創業の地は徳島です。今でも徳島市に本部と、徳島県内に5つの工場があります。サッカーのJリーグでも、大塚製薬が徳島ヴォルティスの大口スポンサーになっています。創業者一族の生家もあり、大塚製薬の社員以外は利用出来ない宿泊施設などもあります。一般に徳島市民の認識では、大塚製薬が徳島を代表するナンバーワン企業です。

前田:なるほど。では、文化面ではいかがですか?

藤井専務:文化面で徳島と言えば、やはり阿波踊りでしょう。残念ながら赤字などのトラブルの影響で、ここ数年は開催が見送られていますが、毎年8月12日から15日までの4日間、街中阿波踊り一色になります。ゴールデンウイークあたりから練習する人が出始めて、本番直前になるとほぼ毎晩練習です。阿波踊りに参加するために、開催期間中仕事を休む人が少なくありません。

有限会社藤建商について

前田:次に、御社のプロフィールを教えて下さい。

藤井専務:当社のもともとは、40年程前に私の父親と母親が始めたサッシ屋が始まりです。アルミ関係の建材を取り付けたりと、主にアルミ関係の仕事を請負ってきました。その後左官屋さんを入れたりして、少しずつエクステリアの方向へ進んでゆきました。創業から5年目位でダイワハウスさんから仕事をいただくようになりまして、その後ダイワハウスさんとのお付き合いがずっと続いています。今ではダイワハウス協力会の広報部会長をお受けするまでになっています。なお、当社の売上の半分はダイワハウスさん関係です。

前田:売上の半分がダイワハウスさん関係ですか。残りの半分はいかがですか?

藤井専務:公共工事とか、一般の方の外構関連の仕事です。個人的なつながりで、徳島の地場の工務店さんから仕事をいただいたりもしています。

前田:なるほど。ところで、藤井専務はいつ藤建商さんへ入られたのですか?

藤井専務:私は、地元の工業高校を卒業して、1年間徳島の建設コンサルティング会社に勤めた後に当社へ入社しました。どうせ家業を継ぐなら早い方がいいと思い、そう判断しました。実際のところ、高校の就職課に竹中工務店さんから求人が来ていて、恩師の方が話を進めようとしてくださっていたのですが、私の方でお断りしました。恩師は激怒して、「今後20年は竹中工務店から求人はこないぞ」と文句を言っていたそうです(笑)。

前田:そうでしたか。ところで、当社へ入社されてどのようなお仕事をされたのですか?

藤井専務:最初は職人です。左官からブロック積みから何から何まで、エクステリアに関する現場の仕事は、ほぼ全部やりました。入社してから15年間は職人の仕事をしていました。「藤建商のあの職人は凄いな」と言われるようになりたいと思い職人の仕事に打ち込んでいました。

前田:15年間は職人として極めてこられたのですね。その後はどうされたのですか?

藤井専務:その後は今の仕事と同じです。職人ではなく、経営に軸足を置いた仕事にシフトしました。また、そのころから社長である父はほとんど現場に出なくなりましたので、実質的に代替わりしたと言っていいかも知れません。

インタビューの様子

型押しアスファルト工法の普及程度

前田:話を変えますが、ここ徳島においては、型押しアスファルト工法はどの程度普及しているのでしょうか。

藤井専務:ほとんど普及していないと思います。実績などもほぼ無いに等しいです。

前田:まったくないのですか?

藤井専務:ないですね。前に一度設計に入っていると聞いたことがありますが、現場で見たことはありません。もしかしたらあるのかも知れませんが、私が知る限りではありません。

スタンプロードについて

前田:次にスタンプロードについておたずねします。藤井専務がスタンプロードをお知りになったきっかけを教えて下さい。

藤井専務:三豊工業の営業担当者さんからのご紹介です。その営業担当者さんとはダイワハウスさんの現場の外構のスタンプコンクリートの仕事を通じて20年以上の付き合いがあり、三豊工業さんが最近スタンプロードというものを始めたということを教えてくれたのです。

藤井専務

前田:それは、いつくらいの話ですか?

藤井専務:1年位前だと思います。三豊工業の営業担当者さんから「徳島エリアのスタンプロードは、藤建商さんにやっていただけないか」という話をいただきました。営業担当者さんとは付き合いも長いし、悪い話ではないと思いました。しかし、導入コストの問題などもあり、当初はどうしようか悩みました。お金の問題にもなるので、社長にも相談しました。

前田:なるほど。

藤井専務:考えた結果、同業他社にとられてしまったら、仮にスタンプロードの仕事が増えてきた時に不利になる。であれば、自ら先にやってしまった方がいいだろうと考え、スタンプロードの施工店になる判断をしました。

前田:ご判断される前に、社長にご相談されたのですよね。社長のご反応はいかがでしたか?

藤井専務:社長の反応は、「住宅の外構でこんなものが使えるのか?」という感じでした。「住宅の外構ではアスファルトなんかやらないだろう」とか、「舗装した上にわざわざわざ手をかける人がいるのか?」とも言っていました。それで関係者で現物を見てみようということになり、試験施工をすることになったのです。

前田:なるほど。

藤井専務:当社は大手舗装会社のガイアートさんと付き合いがあり、ガイアートの所長さんに相談したのです。正直言って、型押しアスファルト工法がほとんど普及していない徳島で、採算が取れるだけの仕事がそんなに簡単には取れないだろう。であれば、ガイアートさんにも営業品目のひとつに加えていただければという思いもあり、ガイアートさんにご協力いただいてスタンプロードの試験施工をする場所をお借りしました。

スタンプロード施工の様子

前田:それで実際に試験施工をされた。当時の様子はいかがでしたか?

藤井専務:当社のスタッフも参加したのですが、1日目の夜に感想を聞いてみたら非常に高評価でした。試験施工をやってよかったと思いました。また、試験施工には市の担当者など、スタンプロードを知っていただきたい人をお招きしました。

スタンプロード施工の様子

スタンプロードの利用用途

前田:それでこの度スタンプロードの認定施工店になっていただいたわけですが、スタンプロードを導入されたら、実際にどのような用途でのご利用をお考えですか?

藤井専務:スタンプロードは、当社が今やっている仕事とは完全に別の仕事です。景観という点では同じですが、道路など公共性がより高いと思います。正直どのような仕事がとれそうか今の時点ではあまりイメージできていません。スタンプロードの仕事を始める当初は、三豊工業さんのスタッフとも連携を密にして、必要に応じてご支援していただければと思います。

前田:スタンプロードの仕事を始めるに際しては、まずはスタンプロードの認知を拡げることを優先するということでしょうか?

藤井専務:そうですね。試験施工とか、ダイワハウスさんへの提案とかを当面はやっていけたらと思います。

前田:スタンプロードは御社にとっては新規事業になると思いますが、藤井専務としては、このスタンプロードという新規事業を、いつくらいまでにどの程度の規模にしたいとお考えですか?

藤井専務:今の時点ではあまり考えていませんが、1年位で元が取れたらいいとは思っています。ただ、今のところ手元に数字などの情報や実績がないので、実際のところは予測が難しいかもしれません。

前田:あと、スタンプロードの事業にスタッフを何人位投入する予定ですか?

藤井専務:1班3人として、2班6人の体制を考えています。人材については社外の施工協力会社などとも相談し、対応できるようにするつもりです。

テンプレート、色、ヒーターについて

前田:話題を変えますが、スタンプロードのテンプレートについてはいかがですか?

藤井専務:試験施工で3パターンのテンプレートを拝見しました。デザインは総じて悪くないと思います。特にレンガ調のテンプレートは面白いと思いました。

出海会長

前田:なるほど。では、色についてはいかがですか?

藤井専務:正直に言いますと、総じて色が少し濃いように感じます。もう少しスタンプコンクリートで使うような淡い色合いが増えればいいなと思います。アスファルトの黒い下地が見えないようにするために濃くしていると思いますが、私は、場合によっては下地が少しくらい透けたくらいでもいいと思います。インターロッキングでは出せないような、マーブル系といいますか、そういう味わいが出るのであればそれはそれでありだと思います。

前田:ヒーターについてはいかがですか?

藤井専務:サイズ的にはちょうどいいと思います。2トン車にも載りますし、持ち運びもできるし、いいと思います。

スタンプロード全般について

前田:あと、スタンプロード全般について、ここを改良したらいいといったアドバイスがありましたらお願いいたします。

藤井専務:スタンプロードはテンプレートが軽くていいのですが、テンプレートひとつで500㎡位しか使えないと聞きました。もう少し長く使えるといいかも知れません。テンプレートは値段もそれなりにしますし、使用可能時間が増えればコストも下がります。可能であればその辺を改良していただけるとありがたいです。

三豊工業に望むことなど

前田:なるほど、では三豊工業に望むことなどございましたらお願いいたします。

藤井専務:営業ツールはぜひ作っていただきたいですね。特にダイワハウスさんには営業ツールを使って営業したいですね。スタンプロードとは何かが簡単にわかる営業ツールがあれば話が速く進みます。
例えば、ダイワハウスさん専用のカタログなどがあってもいいかもしれません。スタンプロードのテンプレートのパターンや色、施工事例などをまとめたもので、場合によってはダイワハウスさんの社名やロゴが入っていてもいいかも知れません。ダイワハウスさんのアパートの事例写真などが入っているとさらに使いやすいです。施工店がダイワハウスさんの設計さんに説明するための営業ツールを作っていただけると助かります。

前田:写真がよろしいですか?他の施工店さんでは動画がいいというお声もいただきました。

藤井専務:動画もいいと思います。ただし、現在のスタンプロードのホームページに載っている動画だと短すぎますね。あの動画は、あくまでもスタンプロードの施工についての動画ですが、事例などを集めた一定の長さの動画があってもいいかも知れません。

前田:スタンプロードの動画を求める声が少なくないですね。最後に、コメントがございましたらお願いいたします。

藤井専務:当社のような小さな会社が新規事業に相応の額を投資したのは、今回が初めてです。早く回収できるように、営業面も含めてバックアップしていただければと思います。ダイワハウスさんやガイアートさんなどとの繋がりを活かしつつ、仕事として着実に立上げられればいいと思います。

前田:ダイワハウスさん向けの営業ツールや動画制作の必要性等々、大変有意義なアドバイスをいただき、ありがとうございました。御社のスタンプロード事業の成功をお祈りいたします。

藤井専務:ありがとうございました。

左から弊社代表佐藤、藤井専務様、弊社岡山営業所長南
(左から弊社代表佐藤、藤井専務様、弊社岡山営業所長南)
2022.06.24