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【interview】既存の事業形態に合うなら導入されるといいと思います/有限会社陸正開発

インタビューの様子
インタビュー日時 2022年6月1日水曜日
インタビューをさせていただいた方:有限会社陸正開発(岡山県倉敷市) 代表取締役 大熊正嗣(おおぐま・まさつぐ)様
インタビュアー:経営コンサルタント 前田健二

岡山県倉敷市は人口47万人を抱える、岡山県第二の都市です。古くから水運が盛んな港町として知られ、市の中心部である倉敷川沿いの一帯は、江戸時代に幕府直轄地が置かれたことを機に繁栄し、豊かな経済圏を古くより形成してきました。白壁の街並みが美観地区として保存され、国内外から多くの観光客を集める人気観光スポットとなっています。。

倉敷市はまた、日本全国の市区町村で繊維製品出荷額一位の「繊維のまち」としても知られています。江戸時代中頃から綿花や井草が栽培され、現在につながる繊維産業の礎が築かれています。明治に入ると殖産興業を目的に、市内にいくつもの紡績工場が立てられ、現在に続く「繊維のまち」の基盤が構築されています。

倉敷駅から車で15分ほど走ったところにある有限会社陸正開発さんの本社を訪ね、代表取締役の大熊正嗣様に、スタンプロードを導入されたきっかけなどについてお話をうかがってきました。

倉敷市という街について

(インタビュアー前田健二、以下「前田」)はじめに、倉敷市について教えて下さい。倉敷市とは、一体どんな町でしょうか。

(有限会社陸正開発代表取締役大熊正嗣様、以下「大熊社長」)倉敷市について一番わかりやすい言い方をすると、「瀬戸大橋の玄関口」になると思います。瀬戸大橋は1988年に開通した岡山県と香川県を結ぶ本州四国連絡橋のひとつで、日本で三番目に長い橋です。橋には道路と鉄道が通っていて、鉄道と道路の併用橋としては世界一長く、ギネス世界記録にも認定されています。

前田:なるほど。「瀬戸大橋の玄関口」ですか。

大熊社長:倉敷市はまた、「美観地区の街」としても知られています。古くから残る白壁の蔵屋敷、なまこ壁、柳並木など、趣ある景観が楽しめます。また、大原美術館などの文化施設もあり、コロナ前は連日多くの観光客を国内外から集めていました。その美観地区の整備に、型押しアスファルト工法が使われています。

施工の様子

前田:型押しアスファルト工法は、いつくらいから使われているのですか。

大熊社長:私の知る限りでは10年位前だと思います。当初は歩道から使われ始めました。倉敷市では「美観地区」を中心に型押しアスファルト工法が採用されています。採用は大分広がっていて、最近はインターロッキングブロックの歩道などを型押しアスファルト工法で置き換えています。

前田:倉敷市は、型押しアスファルト工法を適時取り入れている感じですね。

大熊社長:そうですね。ところで倉敷市はまた、デニムで有名な街でもあります。倉敷市の児島地区が国産ジーンズ発祥の地であるとされており、有名ブランドがいくつも立ち上がっています。

前田:倉敷市は、観光に積極的に取り組んでいるのですね。

大熊社長:そうです。美観地区をメインに、観光産業の振興に取り組んでいます。倉敷駅から美観地区までの歩道は、電柱の地中化工事が完了しています。電柱の地中化は、今後住宅地を含む他のエリアへも広がってゆくと思います。

前田:ちなみに、倉敷市の人口は何人ですか。

大熊社長:47万人です。岡山県では岡山市に次いで二番目に大きな街です。人口では二番ですが、「住みたい街」についての調査結果では、岡山市を抜いて岡山県一位となっています。

陸正開発のプロフィール

前田:続いて、御社のプロフィールを教えていただけますか。

大熊社長:陸正開発は、舗装工事については、売上高、施工数ともに倉敷市のナンバーワン企業だと自負しています。民間の下請け工事(*公共工事を受注した元請け会社からの下請け受注を含む)が全体の8割で、2割が行政・公共工事の元請けとしての仕事です。拠点は倉敷ですが、福山市と広島市にグループ企業を置いてそれぞれ営業させています。舗装工事のほかには、のり面の吹付などの防災工事なども行っています。

前田:なるほど。御社は大熊社長が創業されたのですか。

大熊社長:会社自体の創業は先代ですが、会社に建設業の仕事を持ち込んだのは私です。13年前に、それまで不動産業を営んでいたこの会社に建設業の仕事を持ち込みました。元々の社名は山陽不動産でした。それを今の社名に変更しました。この会社に入社する前は、倉敷市内にある同じ業界の企業に勤めていました。

インタビューの様子

前田:ところで、陸正開発という社名にした理由は何ですか。

大熊社長:陸は祖父の名前から、正は父の名前から、それぞれとりました。祖父は戦後の闇市があった時代に今でいうレジャーマットであるゴザの製造販売で財を築いた地元でもそれなりに有名な人物でした。祖父と父が子孫に財産を残してくれたことに感謝しながら、舗装という「陸」の仕事を「正しく行う」という意味も加えて、陸正開発という社名にしました。

倉敷市における型押しアスファルト工法の認知度

前田:なるほど。話を変えますが、倉敷市の行政サイドにおける型押しアスファルト工法の認知は、どの程度ですか。そもそも型押しアスファルト工法の存在は知られていますか。

大熊社長:まだあまり知られていないと思います。見たことがあるという人は少なくありませんが、基本的にはカラー舗装の一種として認識されている方が多いです。舗装に色を付ける手段のひとつとして認識され、それが型押しされたものだとまではイメージできていない感じです。「インターロッキングブロックに色が付いたもの」という風にイメージされている方も多いと思います。

前田:行政サイドとしては、型押しアスファルト工法の認知はそれほど広まっていないという理解でよろしいでしょうか。

大熊社長:見たことがあるという人は多いと思います。でも、現場が型押しアスファルト工法で施工されたと理解している人は少ないと思います。ただし、型押しアスファルト工法に対する関心は大きいと思います。型押しアスファルト工法の施工現場には、行政サイドから多くの人が見にやってきます。いずれにせよ、行政サイドに対しては、型押しアスファルト工法についての理解を深めるための、我々施工業者サイドの努力が必要だと思います。

型押しアスファルト工法を知ったきっかけ

前田:ところで、大熊社長が型押しアスファルト工法を知ったきっかけを教えてください。

大熊社長:自社が受注した、倉敷市発注の工事からです。13年ほど前の話ですが、設計に型押しアスファルト工法が入っていて、それで初めて型押しアスファルト工法の存在を知りました。外国(カナダ)から入ってきたものだと知り、いかにも外国のものらしいと感じました。

スタンプロードを選んだ理由

前田:では、そろそろ本題に移らせていただきます。御社がこの度スタンプロードの認定施工店になられた理由、つまりスタンプロードをお選びになった理由を教えてください。

大熊社長:三豊工業の営業担当者さんから提案されたからです。2年ほど前の話です。今度三豊工業でスタンプロードというのを始めるのでどうですかというお話をいただき、倉敷岡山地区では初ということで、その話に乗りました。型押しアスファルト工法は、舗装工事という我々のメインの仕事に結びつけることができ、プラスアルファの売上を得られると思いました。導入コストも競合機種よりも安く、導入しやすいと考えました。何よりも、既存の仕事に上乗せできる点が魅力的でした。

前田:なるほど。

大熊社長:倉敷エリアでは陸正の名はよく知られているので、陸正がスタンプロードを始めたとなると、その情報が業界に比較的速やかに広がるのではという期待も後押ししました。

前田:大熊社長からご覧になって、型押しアスファルト工法の存在がもっと世間に知られるようになれば、マーケットは今よりもっと広がると思われますか。

大熊社長:広がると思います。観光地、商業エリアなど、需要は相当広がると思います。ビジネス的にも、施工に加えて維持や管理でも売上が見込めます。特に景観を重視する倉敷市では、維持や管理での売上が大きく期待できます。

インタビューの様子

スタンプロードの利用用途

前田:陸正さんはすでにスタンプロードを現場で使っていただいているのですが、主にどんな現場で使われていますか。

施工事例:カーディーラーの展示場

大熊社長:商業施設がメインです。先日はカーディーラーの展示場で施工させていただきました。もともとタイルを貼っていた車の展示場をスタンプロードで改修したりしています。タイルだとつぎはぎだらけになって見た目も悪くメンテも難しいので、スタンプロードでやっています。強度があり、デザイン性も高い点が評価されています。

前田:なるほど。ところで、スタンプロードを担当する社内のチーム編成はどうなっていますか。

大熊社長:若手主体の5-6名で編成しています。スタンプロード専属ではなく、メインの舗装工事にプラスしてスタンプロードの仕事をやってもらっています。

施工の様子

前田:スタンプロードの仕事の対応可能エリアについてはいかがですか。

大熊社長:現在の営業範囲に加えて、西は山口県まで程度ですね。東については、今までそういった経験があまりないので具体的なイメージができていないですが近畿圏位でしょうか。

スタンプロードの営業方法

前田:ところで、御社は現在、スタンプロードをどのように営業されていますか。

大熊社長:既存顧客への営業が中心です。先日、三豊工業さんにスタンプロードのパンフレットを作っていただきましたが、それを配布するなどして営業しています。反応は悪くなく、興味がある人はパンフレットを受け取るとすぐに反応します。

前田:なるほど。

大熊社長:あと、役所の案件で設計に「カラー舗装」が入っていたら、すぐにVEの提案をします。

前田:カラー舗装ではなくて、スタンプロードの方がいいですよという風に提案するのですか。

大熊社長:そうです。元請けさんからカラー舗装の見積依頼が来たら、スタンプロードに変更したらどうですかと提案するのです。カラーも一般的なカラー舗装でよくあるベンガラだけではなく、色々な色が選べますよと言って色の変更から提案して、スタンプロードの方へ持っていくのです。

前田:なるほど。そんな営業方法もあるのですね。ところで、スタンプロードの仕事を、年間でいくらくらい取れると思われますか。

大熊社長:あまり大きなことは言いたくないですが、現在の手元の仕事としては、直近で1500万円から2000万円くらいだと思います。それを年間で5000万円くらいまでもってゆきたいと思います。スタンプロードの仕事に付帯してくる本業の舗装工事の受注増にも期待をしています。

本社駐車場にも試験的に採用
(本社駐車場にも試験的に採用)

スタンプロードのテンプレート、色、ヒーターについて

前田:スタンプロードのテンプレートについておうかがいします。使い勝手や耐久性など、テンプレートについてはいかがですか。

大熊社長:まず、競合製品のワイヤー式のテンプレートよりは軽くて持ち運びが簡単ですね。耐久性については、まだわかりません。耐久性はワイヤー式よりも若干劣るという話も聞きますが、仮にそうであればコスト的に対応していただけるとありがたいですね。

前田:テンプレートのバリエーション、種類についてはいかがですか。

大熊社長:バリエーションは多いと思います。ユーザーの立場からすれば、テンプレートも色もバリエーションが多い方がいいですよね。実際に工事をする我々の立場からすると少ない方がいいですが(笑)。色についても、バリエーションは多ければ多い方がいいと思います。

前田:ヒーターについてはいかがでしょうか。

大熊社長:ヒーターについても未知ですが、可能であればイタリア産ではなく、国産にしていただきたいです。メンテナンスや修理などは、国産の方がやりやすいと思います。国産だとパーツの取得も容易です。

前田:あと、スタンプロード全般について、改良すべき点などがありましたら教えてください。

大熊社長:使い始めてまだ間もないので何とも言いにくいですが、オリジナルのテンプレートとかが作れるといいですね。実際にやりたがっているお客さんもいます。でも、コスト面をクリアできるかがポイントになると思います。

三豊工業に望むことなど

前田:あと、スタンプロードの本部、つまり三豊工業に対してですが、望むことなどはございますか。

大熊社長:営業支援などのバックアップはぜひお願いしたいですね。特にソーシャルメディアなどを使った営業支援ですか、InstagramですとかYouTubeとかですね、そういうものを使った営業支援をお願いしたいです。現場の動画なんていいですよね。外国の企業は現場の動画をYouTubeでどんどん流しています。いずれにせよ、後方支援は手厚くしていただけると助かります。

前田:最後に、現在スタンプロードの認定施工店加入を検討している企業の方に、ひと言メッセージをお願いします。

大熊社長:(陸正開発さんの舗装工事のように)ご自分の現在の事業形態にスタンプロードが合うのであれば、導入されるといいと思います。そうではなく、ゼロからスタンプロードの仕事を立ち上げるというのであれば、ちょっと難しいかもしれません。既存事業という屋台骨があるのとないのとでは大きく違います。いずれにせよ、スタンプロードの仕事はやって面白い仕事だと思います。

前田:本日は大変貴重なお話をおうかがいしました。どうもありがとうございました。今後の御社のさらなるご躍進をお祈りしています。

大熊社長:ありがとうございました。

左から弊社代表佐藤、大熊社長様、岡山営業所長南
(左から弊社代表佐藤、大熊社長様、岡山営業所長南)
2022.07.19