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【interview】「黒いアスファルト」にうんざりしていました/株式会社椿Fロード

インタビューの様子
インタビュー日時 2021年7月19日月曜日
インタビューをさせていただいた方:株式会社椿Fロード(静岡県富士市) 代表取締役 椿貴仁様
インタビュアー:経営コンサルタント前田健二

静岡県富士市は、人口24万4千人を有する静岡県東部にある街です。富士山の南の玄関口で、夏の登山シーズンには日本全国から登山客が集まります。新幹線新富士駅のターミナル内にも富士山登山の観光案内所が設置され、富士の頂を目指す人々で賑わっています。一方、街の南は駿河湾に面し、富士市は高低差3,421メートルという文字通り山と海に囲まれた街です。

富士市はまた、製紙の街としても知られています。富士山の伏流水などの水資源が豊富で、消費地の首都圏に近いことから古くから製紙業が盛んです。江戸中期の頃より「紙すき」が行われ、「駿河半紙」のブランドが江戸で人気を博すなど、紙づくりが伝統産業となっています。富士市内では、現在も日本製紙株式会社、王子マテリア株式会社などが各種の紙の生産を行っています。

そんな富士市中心部から東へ車で15分位のところにある、株式会社椿Fロードさんの本社をお邪魔し、社長の椿貴仁様にスタンプロードを導入されたきっかけなどについてお話をうかがってきました。

会社外観

株式会社椿Fロードについて

(インタビュアー前田健二、以下「前田」)はじめに、株式会社椿Fロードのプロフィールを教えて下さい。

(株式会社椿Fロード 代表取締役椿貴仁様、以下「椿社長」)株式会社椿Fロードは、アスファルト舗装をメインでやっている会社です。私自身、アスファルト舗装の仕事を20年やっていて、株式会社椿Fロードを10年前に設立しました。

前田:もともとは別の会社にお勤めだったのですか?

椿社長:はい、そうです。もともとは別の舗装会社に勤めていました。しかし、どれだけ多くの売上を上げても給料は1円も変わらない。長らくそうした疑問を持っていました。そうであれば自分自身で会社を立ち上げた方がいいと思い、実際にそうしました。

前田:前にいた会社ではどのような仕事をしておられたのですか?

椿社長:公共工事のアスファルト舗装がメインでした。富士市を含む静岡県東部の、道路や駐車場のアスファルト舗装が中心でした。

前田:ところで、椿社長は今おいくつですか?

椿社長:43歳です。

前田:ということは33歳の時に独立ですか。比較的若くして独立されたのですね。

椿社長:そうですね。

インタビューの様子

前田:ちなみに、椿社長は富士市のご出身ですか?

椿社長:いいえ、違います。私は静岡県西伊豆町の出身です。西伊豆で生まれ育ち、高校も西伊豆だったのですが、わけあって中退しました。その後、沼津の定時制高校へ通い始めたのですが、そこで紹介された会社が沼津の道路舗装会社だったのです。それが、私が舗装の仕事を始めたきっかけです。なお、現在は富士市内に家族と共に住んでいます。

前田:その会社で舗装の仕事を始められ、10年勤務した後に独立されたのですね。

椿社長:そうです。辞める時は、なんていうか少し揉めましたね。私がほとんど主体的に仕事をしていましたので、私が抜けてしまうとダメージが大きかったからです。営業、見積り、集金、そして実際の仕事の段取りまで、ほとんどすべてを私がやっていました。ですので、会社としては私に辞めてほしくなかったのだと思います。

前田:沼津の定時制高校から紹介されてアスファルト舗装の仕事を始められたわけですが、初めてアスファルト舗装の仕事をされた時の印象はどうでしたか?

椿社長:正直、あまり良くなかったですね。仕事はきついし、雨が降ると仕事は休みでお金にならない。アルバイトで日給月給だったので給料も安い。仕事もあったりなかったりで不安定で、あまり良い印象はなかったです。

最初はアルバイトで入社されたのですか?

椿社長:そうです。最初はアルバイトで、4年後に正社員になりました。でも、正社員になっても残業代がもらえず、安月給のままでした。

前田:ところで、アスファルト舗装の仕事とは、どんな仕事なのですか?

椿社長:まずは下地の路盤を敷きます。路盤を慣らしてからその上にアスファルトを敷いてゆきます。そのアスファルトですが、とにかく熱い。夏は当然熱いし、冬も熱い。アスファルトそのものの温度が160℃位あります。

フィニッシャー
(黄色の重機がアスファルトの敷き均しに活躍するフィニッシャーと呼ばれる機械)

前田:なるほど、大変な仕事ですね。独立された後もアスファルト舗装の仕事が中心だったのですか?

椿社長:辞めた会社で私が担当していたお客さんから、私に直接連絡が来ていたのです。最初はお断りしていたのですが、元請けさんの方から何とか頼むよという話になってしまって、お受けするようになったのです。

前田:そのようにして新たに設立した会社の仕事を増やしていかれたのですね。独立から10年が経ったわけですが、現在の仕事はどのような仕事が多いですか?

椿社長:今もアスファルト舗装がメインです。道路とか駐車場とかが多いですが、民間の仕事が多いです。仕事全体のうち、民間の仕事が7割、公共の仕事が3割位です。民間の仕事は、工場や店舗の駐車場などを多くやっています。お寺の駐車場をやったこともあります。

前田:そういった民間の仕事は、どうやって受注しているのですか?

椿社長:基本的には元請けさん経由です。ごく稀にホームページから問い合わせがくることもありますが、レアケースです。富士市、沼津市、神奈川などを基盤にしている元請けさんからお仕事をいただくケースがほとんどです。 正直なところ、これまで営業はしたことがありません。ちなみに、ホームページから問い合わせてきたお客さんはラーメン屋さんで、お店の駐車場に穴が開いたから何とかしてほしいというご相談でした。

前田:そういった民間の仕事を、年間どのくらいやっておられるのですか?

椿社長:いやあ、どうでしょう。小さい現場が多いですが、大きい現場を含めて年間300件位はやっていると思います。

前田:そんなにやっているのですか。ところで、御社の社名についておたずねしたいのですが、なぜ株式会社椿Fロードと名付けられたのですか?

椿社長:社名ですか、実は社名にそれほど意味はありません(笑)。最初は「株式会社Fロード」にしようと思ったのですが、それだと何となく物足りない気がして、自分の名前をFの前に入れようと思ったのです。なお、Fそのものには意味がなくて、Sでも良かったかも知れません(笑)。

インタビューの様子

富士市という街について

前田:話が変わりますが、この富士市という街について教えて下さい。富士市という街は、どんな街ですか?

椿社長:富士市を一言で言うと「紙の街」ですね。市内には製紙会社の工場があちこちにあります。また、富士山の麓の街でもあり、富士登山の入り口の街でもあります。気候的には比較的温暖で過ごしやすいですが、製紙工場からの匂いが気になります。工場の近くに行くと、ファストフード店のフライドポテトのような匂いがします。最近は大分良くなってきましたが、昔はひどかったです。あと、山が近いので、夕立のような雨がよく降ります。

スタンプロードを知ったきっかけ

前田:では、そろそろスタンプロードについておたずねします。椿社長がスタンプロードをお知りになったきっかけを教えて下さい。

椿社長:もともとは、スタンプロードの競合製品の仕事をお受けしたことがきっかけです。元請けさん経由の仕事でしたが、施主がその競合製品を使うよう依頼してきたのです。それでそういう工法、型押しアスファルト工法というものがあることを知ったのです。

前田:施主から型押しアスファルト工法をやってくれと言ってきたのですね。それが元請けさん経由で椿社長のところへやってきた。

椿社長:そうです。最初はそんな工法があるとはまったく知りませんでした。それでどうしようかということになり、元請けの道路会社経由でスタンプロードの競合企業さんに相談をしたのです。それで、その競合企業さんにその現場を実際にやっていただくことになったのです。

前田:なるほど。それはいつくらいの話ですか?

椿社長:2年位前です。実際に現場をやっていただいて、その現場を見てみて、「こんな工法もあるのか」と思いました。アスファルトと言えば黒ですが、黒以外のアスファルトもあるのかと衝撃を受けました。それまでは黒いアスファルトか、着色されたアスファルトしか見たことがありませんでした。また、それから2年後にその現場を改めて見に行ったのですが、経年劣化も破損もなく、とても綺麗なままだったのに驚きました。

前田:なるほど。

椿社長:それで型押しアスファルト工法の存在を知り、それについてネットなどで情報を集めるようになりました。そして、我が社の新事業として実際に始められないかと考えるようになったのです。お話したように、アスファルトの仕事は熱くて大変です。単純なアスファルト舗装の仕事のほかに、何か新しい仕事が始められないかと考え始めてもいました。

前田:なるほど。

椿社長:また、これはアスファルト舗装の仕事をしている人ならわかると思いますが、長年アスファルト舗装の仕事をしてきた中で、「黒いアスファルト」にうんざりしていたのもあると思います。アスファルト舗装の仕事はある意味単調です。熱くて黒いアスファルトを敷き、慣らしてゆく。時には「一生これをやり続けるのか」という気持ちになることすらあります。特に忙しい年度末などは、そうした気持ちになることが多々あります。

前田:長年アスファルト舗装の仕事をしてこられると、往々にしてそんな気持ちになるものなのですね。アスファルト舗装の仕事を行う人の宿命のようなものだと言っていいかもしれません。そんな時に型押しアスファルト工法という新しいものが飛び込んできた。それからどうされたのですか?

椿社長:実際に現場をやっていただいた型押しアスファルト工法の会社へ電話をしました。それでその仕事を始めるためのコストなどについて問い合わせたのですが、ヒーターなどの設備投資が結構大きくて、とりあえず断念しました。

前田:その会社の型押しアスファルト工法では、始めるためのコストが高過ぎたのですね。それでどうされたのですか?

椿社長:それで別の会社を探そうということになり、インターネットで「型押しアスファルト」などのキーワードで検索をしました。その結果、三豊工業さんのスタンプロードが出てきたのです。

ワークショップの様子

前田:なるほど。

椿社長:それで三豊工業さんのホームページから問い合わせをしました。すると佐藤社長が当社へ来て下さり、色々とお話を聞かせて下さいました。三豊工業のスタンプロードはヒーターの大きさが丁度よく、民間の仕事がメインの当社にとっては、小回りもきいてベストフィットすると思いました。

前田:そうですか、コスト的にはいかがでしたか?

椿社長:コスト的にも、競合企業よりも全然安いと思いました。この値段であれば、先行投資すべきだと思いました。

ワークショップの様子

前田:それで実際に購入をお決めになり、ワークショップもお受けになられた。ワークショップの方はいかがでしたか?

椿社長:ワークショップは楽しかったですね。普段やっている仕事と全然違う。何よりも黒ではないのが一番楽しかったです(笑)。

前田:黒ではないのが楽しい(笑)。

椿社長:そうです。黒い駐車場は、もう古いんです。これからの時代は、駐車場は見た目が重視されるようになります。アスファルトが綺麗で強くなれば、良いことしかありません。

スタンプロード

前田:これから実際にスタンプロードの仕事が始まるわけですが、社長の頭の中には実際の現場のイメージはありますか。

椿社長:いくつかあります。一つは既に決まっていまして、民間の駐車場の案件です。元請けさん経由で来た仕事ですが、私のほうから元請けさんにスタンプロードの情報を流していたら、たまたまマッチする現場があったのです。また、元請けさんからの仕事以外にも、ポスティングや役所への営業などをしてスタンプロードの仕事が取れないかトライしてみるつもりです。スタンプロードを含む型押しアスファルト工法は、その存在自体があまり知られていません。型押しアスファルト工法の認知を拡げ、最終的には口コミで広がるといいと思います。

前田:なるほど。ところで、現在年間300件程度仕事をされている中で、スタンプロードの仕事は年間どれくらいとれそうですか?

椿社長:何件かはわかりませんが、投資した資金を1-2年で回収できるように出来たらいいと思います。1件当たりの単価がまだわかりませんので、正確なところはまだわかりませんが、まあ、ざっくりと月に3件から5件程度とれればいいと思います。

前田:先ほど、スタンプロードのヒーターの大きさが丁度よいという話がありました。ヒーターを含めてスタンプロードに改良を求める点はありますか?例えば、パターンや色などはいかがですか?

椿社長:パターンは、種類も色々あっていいと思いますが、際(キワ)も出来るパターンがあればいいと思います。あと、ロゴなどのオリジナルのデザインが入れられるようになるといいと思います。また、色も種類がたくさんあっていいと思います。

スタンプロードの作業チーム

前田:あと、御社のスタンプロードの作業チームについて教えて下さい。

椿社長:現在、弊社の作業スタッフは私を入れて4人ですが、そのうちの2人にスタンプロードを担当してもらおうと考えています。ただし、スタンプロード専門というわけではなく、普通のアスファルト舗装の仕事と併せて取り組んでもらう予定です。いずれにせよ、最終的には4人全員スタンプロードが出来るようにしたいと思います。我々はもともとアスファルト舗装のプロですので、スタンプロードの仕事も取り組みやすいと思います。

三豊工業に望むことなど

前田:最後に、三豊工業に望むことなどございましたらお願いいたします。

椿社長:三豊工業さんには色々と支援をいただきたいのですが、特に営業面での支援を期待しています。我々には営業のノウハウが乏しいので、その部分は大いに期待しています。また、個別の商談に同行していただいてプレゼンをしていただくといったバックアップも期待しています。あと、見積り策定時に単価などの情報をいただけると大いに助かります。

前田:マーケティングや営業など、三豊工業が得意な分野だと思います。本日は大変有意義なお話をお聞かせいただき、ありがとうございました。御社のスタンプロード事業の成功をお祈りいたします。

椿社長:ありがとうございます。

握手する椿社長と前田健二さん
社長とスタッフの皆さん
(社長とスタッフの皆さん)
2021.08.18